吹奏楽の指導をしていて、生徒が音を外したり指がまわらなかったり、何か「ミス」と思われることがあったときに、すぐにイラっとしてしまいますか?
指導者と生徒の間で原因は何かと、お互いで意見を交換したりしたことはありますか?
木管楽器など指が回らない原因は、指の練習が足りていないだけでなく、体の使い方が合っていない、息が吸えていない、吐けていないなどが原因かもしれません。
金管楽器で音を外すのは、音程のイメージが無いだけでなく、音色のイメージが無いかもしれないし息のスピードやお腹の使い方が合っていないかもしれない。
打楽器がテンポキープできないのは、基礎打ちが足りないだけでなく、右手が強くなることや左手が強くなる癖を本人が思いすぎていてやりすぎていることが原因かもしれません。
人それぞれ体型や性格は違いますね。1人1人に合う体の使い方や奏法が必ずあります。
吹奏楽の全体の指導をされている指導者であれば全ての楽器に通ずる体のことやメンタルのことなどを知っておきたいですね!
吹奏楽部などで各楽器の外部講師の方に全てを頼っても、体の使い方やメンタルなどについて教えていただけない場合もあります。
時には「あの子はこの楽器に向いていない」と言われてしまって、指導者が諦めてしまうことも・・・
この言葉を信用してはいけませんよ!
吹奏楽器でいうと、アンブシュアなど見た目の判断のみで決めつけたり、打楽器などでも姿勢や叩く見た目だけで決めつけたりする人は多いです。
また、吹奏楽部の外部講師の人が言ったことを言ったようにできないからと、決めつけたりする人がとても多いです。
一生懸命やろうとしている生徒を私がなんとかしたい!
そんな指導者さんの為に私が学び、自ら実践し、生徒にも効果があった体の使い方アドヴァイスを文字で表現できるかぎりお伝えしていきます!
Contents
吹奏楽の楽器演奏タイプは大きく『2つのタイプ』に分かれる
吹奏楽で楽器を演奏する人、特に管楽器奏者は大まかに『2つのタイプ』に分かれるというお話をします。
私が自身が様々なメソッドを取り入れて、色々な楽器の生徒を見てきた中で見つけた1つの答えです。
2つのタイプとは、『テクニック先行タイプ』と『音色先行タイプ』と、私が分かりやすいように名前をつけて考えています。
吹奏楽での体の使い方『テクニック先行タイプ』
『テクニック先行タイプ』の話からしていきます!
『テクニック先行タイプ』というのは特に早いパッセージを得意となる傾向があり、指使いやテクニックの練習から行くと上達しやすいです。
「天才肌」と感じられるタイプの人ですね!
ロングトーンや1つ1つの音をゆっくりじっくりやる練習をやり続けるよりも、エチュードなどを使って、指使いの練習やテクニカル的な練習を多くやったり、曲の練習から入っていくことをオススメします。
ロングトーンを真面目に長い時間やりすぎると上達を妨げる要因になることもあります。
指導者が気をつけなければいけないポイントです。
体の使い方として、前重心か後ろ重心かと考えたときには、「前より」の人が多いです。
イスの座り方など、吹奏楽では都市伝説的に言われている「前3分の1に座る」という座り方でも、体が疲れすぎたり背中が痛くなったりすることはあまり無い人が多いです。
立奏時も推奨される前傾姿勢でもそこまで違和感はないでしょう。
ただ、アンブシュアなど見た目は独特だったり、一般的に悪いと言われてしまう人も多いようです。
音が出ていて演奏できているなら、見た目を変えるのではなく、練習方法を変えてみることが1番よいです。
体を使ってテクニックの練習をしていく、脱力を意識しながらやっていくとやりやすくなったりします!
吹奏楽の中で感じる音の傾向『テクニック先行タイプ』
『テクニック先行タイプ』の人は比較的音が細めの人が多いです。
見極め方としては、楽器を持ってすぐにぱらぱらと音が出てしまった人やべたべたした歩き方をしない人などです。
もちろんこれだけでどちらのタイプかを判断できません。ちゃんとわかる指導者が実際に見て音を聴いたりしないとわかりません。
吹奏楽部などで生徒のことをじっくりと観察してみてテクニックの練習をやってみてもらったりしてみるとわかってくるかもしれません!
指導のススメ『テクニック先行タイプ』
『テクニック先行タイプ』というのは「天才肌」と言われる人だとお話しました。
『テクニック先行タイプ』の人は吹奏楽の中で体の使い方は見た目では力が入っていないように、脱力しすぎなのではないかと見えることもしばしばありますが、それでよいのです。
吹奏楽部でよく言われる、イスの3分の1のところに座って、見た目として姿勢よく保つということは体のどこかしらに無駄な力を必要としてしまいます。
そのために背中が痛くなったり、無駄にお腹に力が入りすぐに疲れてしまうようになります。
吹奏楽部に所属している子は「姿勢が悪いとダメだと教わりました」とよく言います。
「なんでダメなの?」と聞くと答えられません。「先生に言われるから」と答えることがほとんどです。
指導者の方は答えられますか?
姿勢がただ「悪い」という理由は、見た目だけで判断していませんか?
吹奏楽コンクールで姿勢が悪く見える学校は無い。見た目が悪いとコンクールも結果が出ない。このような理由が多く出てしまうことが予想されます。
もしかしたら、指導者に言われるから頑張って慣れるようにしただけで、本当はとても辛いし演奏しにくいかもしれません。
吹奏楽部員が楽器演奏に対して必要な力だけでできる「良い姿勢」を指導者の方は考えてあげてください。
辛くても続けていくことで必ず上手くなる、というのを指導者が体の使い方について採用してしまうのは、長距離走や短距離走の選手のフォームを見た目だけで判断して、走りにくいフォームを無理やりやらせて体を壊してしまうことと同じです。
こんなスポーツ指導者は今はもうほぼいなくなって来ています。
楽器演奏ではそこまで大きく目に見えて表出しないためにわからないことが多いです。
音楽の指導者や吹奏楽の指導者はまだまだ昔から言われていること、信じれれていることをそのまま鵜呑みにしている人は多くいます。
『テクニック先行タイプ』の生徒は時として姿勢が悪く見える場合もありますが、演奏している状態を見て、出てくる音を聴いてから姿勢をどうするとよいか判断できるとよいですね!
吹奏楽の演奏は動いてもよい
『音色先行タイプ』よりも『テクニック先行タイプ』の人は演奏中に体がよく動く人が多い傾向もあります。
動きすぎることをダメとしないで、その動きが演奏の妨げになっている様子なら動くな!としないで、動き方を一緒に考えながら指導してあげることです。
『テクニック先行タイプ』と見られる、蛇みたいな動きをしながらも、ものすごく上手な世界的奏者もいます。
『テクニック先行タイプ』の生徒にはある程度自由に体を使いながら、柔らかく柔軟にさせてあげる指導をしていくと上手くいくことが多いです!
生徒さんを観察しぜひアドヴァイスしてあげてください!
吹奏楽での体の使い方『音色先行タイプ』
吹奏楽で演奏する人の『2つのタイプ』でもう1つ、『音色先行タイプ』の話をしていきます。
一発、ドン!と出す音が体に響くような人が多いです。
イスの座り方は、イスにしっかりと奥まで座ってしまう座り方が体を安定させられるようになります。
どっしりとした雰囲気で見られるかもしれないですね!
その見た目のような音を出せるのが『音色先行タイプ』の特徴です。
音を磨いていくような練習方法が合うコツコツ派と感じられるタイプですね!
ロングトーンや1つ1つの音をゆっくりじっくりやる練習ばかりになる傾向も強いので、テクニックを補う練習も少しずつ取り入れることを指導者の方は提案していかなければいけません。
ただ、テクニックの練習をやりすぎると腱鞘炎になったり、どこか痛くなったり、体を壊すこともありますので「やりすぎ」に注意です。
早いパッセージなどは焦らずゆっくりからやることです。
徐々にテンポを早くしていくような練習が『音色先行タイプ』の人は特に効果的です!
普段からこつこつと積み重ねていくようなイメージで少しずつやり続けることが大事になってきます。
吹奏楽の中で感じる音の傾向『音色先行タイプ』
音色が良いので、長い音を演奏したりゆったりな曲など得意になる傾向があり、音を磨いていくような練習をしていくと上達が早いです。
特徴はテクニック先行タイプよりも「太い」と感じる傾向があります。
体が小さくても大きくても関係なく、小さい人でも太い音をドンと出せるのはこのようなタイプの違いによるものです。
吹奏楽の中の姿勢『音色先行タイプ』
体の使い方としては『テクニック先行タイプ』と逆で後ろ重心の人が多いです。
下半身でしっかりと体を安定させ、見た目では背筋を伸ばしているように見えるかもしれません。
ですが、見た目だけ背筋をピンと伸ばすことをしてしまうと、楽器演奏どころではなく、姿勢を保つことに力を使ってしまいます。
吹奏楽でよく言われてしまう、背筋を伸ばして姿勢をよくするのではなく、イスの背もたれなど使ってしまって体を安定させてみると息が吸いやすくなったり、足をしっかりと地に着けるようにして下半身で体を支えるような形にしてみることをオススメします。
『テクニック先行タイプ』と『音色先行タイプ』で見た目でも違いが出てきたりしますので、ぜひ観察してみて、指導者の方が座り方など提案してみてください!
ご自身も楽器を演奏されるのであれば自分で試して見てもわかります!
指導のススメ『音色先行タイプ』
吹奏楽の中で『テクニック先行タイプ』と比べると不器用だと感じる人が多いです。
指まわしがどこかでひっかかることが多かったり。
体をドンと構えることによってしっかりとした音を出せますが、そのまま早い動きをしようとするために、体を堅くしてしまって指を動きにくくしてしまっていることがあります。
指を動かそうと指ばかりに意識が行くと堅くなってしまって逆に動かなくなってきます。
そこで、指まわしを楽にしてあげる方法として、肘や肩から動かすことを意識するように指導をします。
もともと指だけが動くように体はできていません。肘や肩などのほうから骨や神経など繋がって動いています。
無理やり指を動かすことだけしていても、なかなかうまくいかないことが多いので、少し遠い場所から指を動かしてあげることを指導者の方は伝えてみてください!
肘を動かしてやってみるとか、腕全体で動かしてやってみる感覚です!
また、後ろ重心の人が多いため、肩を後ろにしすぎるような形、胸を開きすぎるような姿勢になる人もいますが、胸を開くような肩を後ろにもっていく形では息が吸えません。
浅い吸い方になりやすいので胸を張るような姿勢はオススメしません。
吸った後も、必要なおなかの力を使えなくなります。
弦楽器なども胸を張ってしまうと腕全体が楽に動かなくなってしまうので避けたい姿勢ですね。
イスの3分の1に座る形であっても、しっかりと足をつけて下半身で支えて背中で支えないで、おなかで支えるような姿勢がよいですね!
どちらのタイプでも吹奏楽で楽器を演奏のに必要な力以外をできるだけ無くすことをすると、上達も早くなります!
吹奏楽での体の使い方 2つのタイプに共通すること
大まかに2つのタイプがあることからお話してきました。
言っていることを覆すようですが、この2つのタイプは後天的に変化することもあります。
吹奏楽部の指導者の好みに合わせて言われた通り人一倍努力したり、自分自身の好みを追及したりしていくと起こる変化です。
なので、変わることを理解し、人はそれぞれ違うということをしっかりと理解しておきましょう。
1番は、生徒が楽に楽器を鳴らせる姿勢を一緒に考えてあげることです。
「こうしてみたら?」「じゃあ、逆のことしてみたら?」など指導者が言葉を伝えて試していくことが1番よい方法です。
また、楽器毎に外部講師の方を呼んでいるのであれば、人それぞれ体も性格も違うことをちゃんと理解している楽器講師の方にレッスンに来ていただきましょう。
吹奏楽で一般的に良いとされる奏法や姿勢でなく、悪いと言われるほうが良い生徒もいます。
講師が言っている奏法でやっても上手くいかないのに、無理やりやらせていて「この子は向いていない」「やる気がない」などと言ってしまう講師の人もいます。
いくら吹奏楽や音楽界で権威ある方でも、生徒の未来を阻害するようなことを言う人を信用できるでしょうか?
演奏が上手な人が教えることが上手な人とは限りません。また、この逆もあります。
演奏が上手な人から多くを学べる場は、その人の演奏会に行くことです!
是非実際の演奏姿を見て、音を聴いて、指導者の方も体の使い方を研究しましょう!
まとめ
吹奏楽部では、生徒のことを1番長い時間見ている指導者が、その生徒の普段の姿勢をわかっているので、普段の様子と楽器を吹くときと変わりすぎて演奏しにくそうだなと感じたら、しっかりと見てあげましょう。
絶対的な正解はありません。一緒に考えてあげるのです!
生徒自身もしっかりと考えてやったことは覚えているものです。
ただ、こうしなさいと言われたことはあまり覚えていません。
それ以上のことができないし、その方法がもしもダメだった時に改善できなくなってしまいます。
指導者に全ての楽器の知識が少なくても、体の使い方一つでも教えてあげたり一緒に考えてあげると演奏は変わります。考え方も変えていけます。
どう声をかけてあげるか、考えながらやってみてください!
吹奏楽など楽器演奏は体の使い方が大事!【YouTube】
動画でも解説しています。
【テクニック先行タイプ】と【音色先行タイプ】と2回に分けて解説しています。