吹奏楽

結果がでない指導者の共通の悩み7選

投稿日:2020年2月24日 更新日:

これまで多く指導者の方に吹奏楽指導者アカデミー個別相談会に来ていただきました。

指導者が吹奏楽指導について本当に多くの悩みを抱えていらっしゃるのが実際にみなさんにお会いして実感しましたが、その中でも共通のお悩み、特に多い7つのことを紹介します。

 

吹奏楽指導者の方の共通のお悩みで多い7個とは、

1.自分に自信がない

2.言っていることが伝わっていない

3.生徒を上達させる方法がわからない

4.何か上手くいかない時の対処法がわからない

5.生徒の努力の方向を正しい方向へ向かわせてあげられない

6.自分の知識不足

7.結果が出ない

この7つのことが個別相に来ていただいた指導者の方々から毎回のように聞く悩みでした。

 

全て自分も昔は同じ状況でした。

吹奏楽部時代、自分が生徒で他の子を指導する時にも同じ悩みがありました。

 

この7つのこと、よく考えてみるとあなたが生徒や奏者の立場であっても同じ悩みがあると思いませんか?

またはあなたの生徒も同じ悩みを持っていませんか?

 

7つの中の「生徒」というところを「自分」だったり「周り」と変えると指導者でない状況のときにはまると思います。

 

では、指導者がこの状況から抜けるために何をするべきか?

「自ら学ぶ」ことが常に必要ですね。学ぶために、何をしているかが大事です。

 

指導者として生徒を見た時にあなた自身と同じ悩みがあるとまず考えてみてください。

自分だったらどうするかと考えてそれを伝える。

それで上手くいかなかった時にあなたが本気で学んでいるかどうか、調べてみるとか、誰かに聞いてみるとかできているかどうかです。

伝えていることが伝わらないという状況の時に、本気で伝え方を考えているか、何通りの伝え方をしてどれだけ伝わらなかったのかわかりますか?

いつも同じ結果にしかならないのはいつも同じ伝え方しかしていないからかもしれません。

 

本気で考えて行動していますか?まず行動です。

 

ですが、これまでいらした方々はその行動の仕方がわかっていないなと感じています。

のんびり、何年後かにわかればいい。今の目の前にいる生徒はしょうがない?

私はこれまで結果を出させてあげれなかった生徒に対して申し訳ない気持ちです。

指導者の方々にはこんな後悔をしてほしくないと思っています。

 

Contents

1.自信がない

1つ目の「自信がない」ということについてです。

自分は吹奏楽の知識がないしあまり生徒をよい方向へ導けていない、と思ってしまい吹奏楽についてや自分自身について自信が無いと感じているのだと思います。

しかし、あなたが生徒だったら、こう言っている指導者についていこうと思いますか?

多くの日本人は「ちゃんとできていないから私はダメ」と思いすぎる傾向にあります。

よく言えば謙虚なのですが謙虚ではなく「自分はダメ」というネガティブな方向へ思ってしまいます。

吹奏楽のことについて「ちゃんと」できていないと何も言ってはいけないなんてことありませんよね?

 

がんばって、吹奏楽のことをわかる範囲で伝えているかと思いますが、自信がないと思っていると言い方などにも自信の無さが出てきてしまいます。

演奏でもそうですよね?生徒で自信がない子は音が出てきません。

指導者がそうなってはいけません。

 

吹奏楽の合奏やソロでも、演奏で自信がない子に音をしっかりと出せるようになってもらうためにどのような声かけをしてあげますか?

自分自身にも、指導について自信が無いならどのような言葉をかけてあげますか?

似たような言葉が思い浮かぶかもしれませんね。

また、自信がない生徒は自分で吹奏楽についてや楽器の奏法など調べて行動してやりつくしていますか?

どのような行動をしているでしょうか。

ほとんどの場合自分はダメだと思ったら行動できていません。行動しようと思わなくなります。

 

あなただったら、どうせダメだからとかやっても無駄と思ってしまいませんか?

 

もしもそう思ってしまっている吹奏楽部の生徒がいたらどんな声をかけてあげますか?

自信がないと感じている指導者の方は、思い浮かんだ言葉と同じことを自分にも言ってあげてください。

 

2.言っていることが伝わっていない

「何回も同じこと言っているけど変わらないな…」

「なんでわからないかな…」

「若い子につたわる話がわからない…」

吹奏楽指導の時にこんなこと思っていませんか?

指導者の言っていることが伝わらないその原因は、指導者の常識の範囲内だけで伝えてしまっているからです。

あなたが知っているでしょ?という気持ちでお話していることを相手が知らない場合は伝わりませんね。

普段家族や友人と何気ない会話をする時は聞いてくれる相手に対して知っているか知らないかを気にせず会話していると思います。

吹奏楽指導の時に、同じようにしてしまっていませんか?

少し、指導者であるあなたの気持ちを変えてみてはいかがでしょうか。

特にわかりやすくするための方法として、相手の年齢よりも3つから5つ下の子に話しているつもりになってみます。

中学生高校生に話しをする時、もっと年齢が下の小学生でもわかるように話しをします。

大人相手の時も小学生でもわかるように話す、と意識してみると、こちらの言いたいことを丁寧にしっかりと受け取ってもらえたり理解してもらえたりします。

 

吹奏楽や音楽についての話というのは表現だったり専門用語だったりが多いので、特に「わかりやすく」「小学生でもわかるように」と注意して伝えることを意識してみると相手にもっと伝わりやすくなります。

ぜひ意識してみてください。

 

3.生徒を上達させる方法がわからない

吹奏楽で使われる全ての楽器の奏法を指導者が専門家の知識レベルまで無くても上達させる方法があります。

それは、「自分自身を上達させる方法を教える」ことです。

 

・自分を客観的に見ることができるようにする

・今足りないことは何か、気付く

・行動し、実践する

・結果どうだったか確認する

・良い効果があれば続ける

・変化がない、悪くなったなら他を試す

これらができれば自分で上達していけると思いませんか?

これらの行動を教えるのに吹奏楽で使われる全ての楽器の専門的知識はいりません。

考えて行動する術を指導者が教えてあげるだけでいいのです。

吹奏楽部の現場で、それぞれの楽器毎に外部講師の方を呼べているのであれば、練習の仕方や吹き方など教わっていると思います。

 

あなたが専門的な各楽器の奏法を、個々に合ったやり方で、吹奏楽部員全員を上達させられる方であれば問題ないですね!

 

しかし、吹奏楽部顧問の先生や全体を見る指導者は他の楽器講師に頼りすぎていてよいでしょうか?

いなくなってしまったら、どうしますか?

 

毎日見ていただけるわけでもないでしょう。予算の関係もあると思います。

吹奏楽部顧問の先生は講師代を自腹で出している方もいらっしゃいますね。

なんとかいい先生を逃さないために、1人の講師につき年間〇十万、〇百万出している方も…

 

高いお金を出し続けて知名度も高い楽器講師を呼んで、多くの回数を来てもらっていると、生徒は講師の言うことしか耳に入らなくなったりし、顧問の言葉はチカラを失ってしまったりします。

そのような現場も多く存在し、見てきました。

顧問の先生、全体を見ている指導者の方と生徒、奏者との信頼関係はとても大事です。

木を見て森を見ずにならないように気を付けたいですね!

 

4.何かうまくいかない時の対処法がわからない

吹奏楽についてうまくいかない時というのは色々なシチュエーションが思い浮かべられますね。

 

・合奏、パートで音程が合わない

・音が出にくい子をどうにかしたい

・音色がよくならない

などなど出てくると思います。

私はこのような相談を本番、特に吹奏楽コンクール直前に受けることがとても多いです。

直前に変えられる手段もありますが、基本的にはもっと前から指導者の方が良くする方法を学んでおく必要がありますね。

本番直前だけ上手くいかないわけではないと思うのです。

吹奏楽コンクールや演奏会の直前は音楽表現を詰めていってほしいなと個人的には思っています…

 

話がそれましたが…

指導者の方からは「具体的な方法を教えてほしい!」と聞こえてきそうです。

 

何か魔法のような言葉や方法があるのではないかと思っている人は絶対に上手くいきません。

対処法は指導の経験から導きだされるもの。だからこそ人に頼ってしまうのかもしれませんが、まずは、「何を変えれば何が変わるか」を知ることです。

リード楽器ならリードの厚さを変えてみたら吹きやすくなる子もいます。

リガチャーだけでも変えたら音量がとても出てきたりします。

金管楽器ならマウスピースを変えたら吹きやすくなる子もいます。

 

どの楽器でも共通するのは少しでも楽器の状態をよくしてあげたら音程が合わせやすくなったりします。

もしこれらのことだけでも知っているなら行動するだけです。

これでもよくならなければ他の方法を試すだけ。

精神的な面からであれば声のかけ方をかえてみることや練習方法を変えることをやります。

たとえば音程が合わないから音程を合わせる練習をしているけど上手くいかない。

それならいっそ音程を合わせる練習を辞めてみることも必要かもしれません。

押してだめなら引いてみる。

そんな考え方も吹奏楽の練習には必要です。

「ダメだ!どうしよう!」のまま、自分の指導法を変えられない指導者は「対処法がわからない」と言っている気がします。

上手くいかない事柄だけに考えや目がいかないようにして、色々な角度から試していけばよくなることばかりですよ。

 

5.生徒の努力の方向を正しい方向へ向かわせてあげれない

この悩みは特に、真面目な指導者の方からよく聞かれるお悩みです。

吹奏楽について正しいと思うことばかりを求めていてもそれが正しいものかどうか、判断は難しくないですか?

特に音楽、楽器の演奏というのは正しい正しくないでジャッジできません。

もしかしたら、「絶対に上手くいく普遍的なもの」という感覚のものを求めてしまっていませんか?

絶対にこれが正しいやり方です!と言えるものを持つことが自信に繋がると思っていたりしませんか?

 

結果を出す指導者はみなこだわりを持って自分の考えを持ってそれでうまくいっていると感じるかもしれません。

「頑固」な指導者はたくさんいますが吹奏楽で結果を出している方全員がこだわりでうまくいっているわけではありません。

本当にずっと吹奏楽で結果を出し続けられる人は勉強し続けています。

知らないことを知る努力をしています。

これは生徒の努力も同じではありませんか?

 

あなたが見えていないところで、知らないことを知る努力をやっているかもしれません。

もしくは努力していると見えていることが「ただ楽器を吹いているだけ」なのかもしれません。

ただ楽器を練習するだけなら考えなくてもできますね。

「考えて」練習できていないのかもしれません!

 

楽器を吹くのが楽しいのでひたすら吹く!

私も中学生の時はそうでした^^

吹奏楽部員が元気に吹いてる姿はとても清々しい気持ちになりますよね!

 

ただ吹いて上達する時も、もちろんありますのでここでも正しい正しくないの判断はできませんよね?

「正しい努力の方向性」とは常に変わるもの。

 

吹奏楽部の活動全体のモチベーションを上げるためにどうしたらよいか考えて行動してみる。

上達するためにどんな練習がよいか練習してみる。

目の前の生徒をしっかり見て提案してみる。

正しいものを求めて探して、見つかってから行動しますか?

 

「不正解」はありません。

やったことは必ず「経験」として残ります。

その子に合わなかったことが他の子に合うこともあります。

正しいことを求めすぎないでどんどんやっていきましょう!

 

6.自分の知識不足

このお悩みは、吹奏楽の知識は絶対に生徒よりも多いはずなのに、誰か他の指導者と比べてしまいこのように思ってしまう指導者の方で多いです。

私は他の指導者と何も比べる必要はないと思っています。

 

指導者がやるべきことは、自ら学ぶことをし続けることではないでしょうか。

今は亡くなられてしまいましたが、吹奏楽の神様と呼ばれていた屋比久勲さんは、中学生や高校生を毎年全国大会へと導いていらしたにもかかわらず、様々な指導者講習会などに足を運び常に勉強されていたようです。

どれだけ結果を残している人でも時間を見つけて勉強しているのです。

吹奏楽の知識が足りないと感じたならば1日1つでも0.5個でも何か勉強されることをお勧めします。

そして、ほんの少しでも勉強したら自分を褒めてあげてください。

きっと「自己肯定感」が低くなっているために知識が足りないと思ってしまうところもあります。

 

「これしかできなかった」ではなく「今日は少しでも勉強できた!」と自分に言ってあげることを積み重ねてください。

吹奏楽の知識がないからダメという考えを無くしていきましょう。

 

知識は付けていっているので今わからなければ調べる、今伝えられることは全て伝えていく。

このように考えてみてはいかがでしょうか?

全力でやれば相手にも必ず伝わります。

知識をつけるにはあなたが学ぶしかありません。

この学びが楽しいものであれば苦ではないはず。

 

吹奏楽は楽しいですか?

 

7.結果が出ない

吹奏楽での結果というのは吹奏楽コンクールで金賞を取ることがごく一般的な考えかと思います。

吹奏楽コンクールで結果を出すことに最も必要なのは、他の団体よりもどう審査員に気にいられる演奏をするかですよね。

もちろん楽器演奏のレベルが高くなくてはいけません。

ですが、本当に「コンクールで金賞を取る」ことだけが結果を出すことでしょうか?

 

目に見える結果としては正解かもしれません。

学校部活動としての吹奏楽なのか、趣味での吹奏楽なのか、コンクールで金賞取るための吹奏楽なのか、プロとしての吹奏楽なのか、場所によっても変わってきますね。

指導者であるあなたがどのような結果を望んでいるか、そして、演奏者側が望んでいる結果とは何なのかここがまず合っていることが大事ですね。

言われなくてもわかっていることかと思います。ですが、ここをしっかりと合わせることができている指導者は少ないです。

 

コンクールと地域の演奏会では求める「結果」は違ってくると思います。

この「求める結果」がぶれないこととその結果を出すために必要なことをやっていないことが原因で「結果が出ない」と悩んでしまわれているのです。

コンクールで大きな結果を得るために全国常連と同じようにするために必要なことはよい楽器、よい設備、講師をいっぱい呼ぶ、などお金がかかります。

それなりにお金をかけていますよね。

そのために顧問の先生や指導者の方はお金をつくるのに努力されています。

 

お金のイメージを悪く思われている方はこのような努力もあまりよいものと思われないかもしれません。

ですが吹奏楽コンクールでは必要なものだとわかっておられるはず。

お金の問題だけでなく必要なことをわかっていてやらないのは心のどこかで「諦め」があったり「時間がない」を言い訳にしていませんか?

 

「諦めたらそこで試合終了ですよ」

名言です。

指導者が心底諦めずにどう行動するかです。

方法は必ずあります。

 

まとめ

結果が出ない指導者の共通のお悩み7つについてお話してきました。

私自身が悩んでいたことでもあり、多くの指導者の方とお話している中でも同じ悩みがあることがわかりました。

私が中学生高校生の時から後輩の指導やリーダーとして進めるときに思っていた悩みでもあります。

何年経っても指導者の悩みは変わらない。この事実に気付きました。

それはなぜか?

吹奏楽や音楽の指導について教えてもらえるところが無いからです。

指導者の方々は自分の経験からだけでしか教えられないために悩みがずっとあるのです。

吹奏楽で結果を出すには吹奏楽で結果を出すことでしか教えられない。けど結果を出したことがないから教えられない。

一生懸命やっているのに結果が出ない。

知っていることの中だけでやろうとするからです。

 

今年1年、吹奏楽指導をされていかがでしたか?あなた自身が何か変えて結果は変わりましたか?

各楽器講師を雇い生徒の演奏のレッスンはしてもらえてもあなた自身の大幅なレベルアップに繋がりましたか?

結果が変わらないのは、吹奏楽に関する指導力だけではないところが原因かもしれないし勉強の仕方があなたに合っていないかもしれません。

来年は来年の風が吹く気持ちでいると、どんどん他の指導者に先に結果を出されてしまうだけです。

どんどん行動して行きましょう!

 

一生「時間ができたらやる」と言いながら過ごしますか?

生徒に結果を出してあげれない状況のまま指導し続けますか?

いつか結果が出るという、「待つ」姿勢でいてもいつかは来ません。

 

2020年はオリンピックがあります。意識していなくても日本で開催されるだけでやはり無意識に影響は受けます。

記念すべき年に吹奏楽コンクールも波乱があるかもしれません。

吹奏楽界も何かと盛り上がりを見せると感じています。

結果を求めるならばチャンスです。

指導者が冷静に判断できたなら生徒をしっかりと導くことができます。

その準備をしていきましょう!

 

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